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1ヶ月変形労働時間制って何だろう?

私は学校を辞めて、
高齢者を対象としたマンションの訪問介護のパートを始めました。


その時に雇用契約を結ぶ際「就業規則」や「雇用契約書」というものを渡され、自分で何度も読み返して確認をした上で印鑑を押しました。

教員時代、そんな仰々しい契約書を読み返したり自分の労働条件について調べたりした覚えがあまりなかったので、私の中では一大事でした。

もしかしたら初任の時に書類に印鑑を押して提出していたのかもしれませんが、「公務員だから安定でしょ」という安心感からあまり細かな書類を見返さなかったのかもしれません。


訪問介護の契約の時は
「自分がしっかりしないと騙されるのかもしれない」
「募集の時の条件とは違う内容で契約書が作られているかもしれない」
といった不安でいっぱいでした。



結果的には、労働基準法に則ったまともな契約書だったんですが、、、、、
この不安感というものは不思議なものです。


信用できない


という感情が社会保険労務士試験を受ける起爆剤となっていった訳ですが、


試験を受けたことが無い人が、雇用契約の際不安になって労働基準法を調べた時になんかしっくりこない条文が並んでいます。


今日は、それをなるべく分かりやすく砕きながら、


パート先の雇用契約にあった「1ヶ月変形労働時間制」について解説します。





この勤務スタイルは、簡単に言うと土日祝日休みは無く、常にシフトで勤務する働き方です。

※ここでは24時間交代制といった働き方は抜きに解説していきます。




労働基準法ではどのように説明されているのか


労働基準法32条の2】
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1ヶ月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条第1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定に関わらずその定めにより特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条2項の労働時間を超えて、労働させることができる。



という法律があります。

まんま引用したので、普通の人は何を言っているのかしっくりこない。
分かりにくい・・・・・。



しっくりこない部分として、

「前条第1項」やら
「同条」
「同項」
「同条2項」


といった前の条文や項目内容が分からない状態で第32条の2が説明されているので、もやもやもやーーーーっとなってしまいます。




この条文をすっきり分かりやすくまとめているのが、厚生労働省の出している
《11ヶ月単位の変形労働時間制の採用方法2労使協定または就業規則などに定める事項》
です。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-2.pdf

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-2.pdf



PDFファイルになっています。



ここには1ヶ月単位変形労働時間制について

1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月以内の期間を平均して
週間当たりの労働時間が40時間以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり特定の週に40時間を超えたりすることが可能になる制度


とあります。

労働基準法の原文ではあんなにモヤモヤした内容をこんなにすっきりとまとめてくれるとは・・・・・。感動です。



この資料にはもっと具体的な例として労働時間の計算方法や残業代の計算の仕方についても解説してあります。




こんな素敵な資料が厚生労働省から出ていたなんて!!!




労働時間の計算方法

上限時間 = 1週間の労働時間(40時間) × 対象期間の暦日数 ÷ 7



〈例えば〉
1ヶ月が30日の月の場合、

40時間 × 30日 ÷ 7
=171.4時間


平均して1週間40時間を超えないようにするのはもちろんのこと、対象期間中の労働時間(平均を計算する前の労働時間)は必ず上限時間以内にしないといけないので、30日ある月の場合は171.4時間以下でないといけない。


ってなっています。


時間外労働や割増賃金の考え方

変形労働時間制でなければ、
1日8時間を超えれば割増賃金だし、
1週間40時間超えても割増賃金。


でも、1ヶ月変形労働時間制の場合は、

1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月以内の期間を平均して
週間当たりの労働時間が40時間以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり特定の週に40時間を超えたりすることが可能になる制度

なので、会社側があらかじめ設定した労働時間を超えて、本来の1日8時間を超えたり、1週間40時間を超すような場合に割増賃金がもらえます。

具体例

時給1000円で考えていくと…



図1
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1番ノーマルな働き方。時間外や割増賃金なし。




図2

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金曜日は設定した労働時間を超え、1日8時間も超えることになるので、割増賃金が1時間発生する。
1000円 × 1.25 × 1時間



1週間38時間に設定されているので、土曜日の時間外は2時間まではセーフ
1000円 × 2時間


それを超えると割増賃金が1時間発生。
1000円 × 1.25 × 1時間


図3

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設定した労働時間を超え、8時間も超えているので、割増賃金が1時間

1000円 × 1.25 × 1時間



図4

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設定した労働時間は超えているけど、8時間は超えていないのでセーフ。
1週間40時間も超えはしないので、ギリギリセーフ。
割増賃金には該当しない。


1000円 × 4時間




図5

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8時間は超えていない。
1週間40時間も超えていない。
でも、他の週で割増賃金に該当しないでただの時間外労働になったのが6時間もあるので、1ヶ月の上限時間は0.9時間だけ超えてしまっている。

1000円 × 0.25 × 0.9時間



こんな感じで1ヶ月変形労働時間制は計算されていきます。





あとがき



今回は1ヶ月の変形労働時間制についてでしたが、1年で考える働き方もあります。これは、1年間で忙しい時期や暇な時期ががっつりあるような業種の人の働き方で、

1年変形労働時間制


といいます。


教員は夏休みになると1ヶ月ほとんど仕事がない状態になるので、この勤務体系がしっくりくるんじゃないのかなって思うんですが、平成29年に出された「学校における働き方改革特別部会」では1ヶ月変形労働時間制だとされ、1年変形労働時間制は検討として記述されていました。



実際どっちの働き方がブラックなんでしょう????