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教員の時間外勤務について考える

社労士試験が終わってなかなか疲れが取れず、いわゆる「燃え尽き症候群」な私。

受験中は試験勉強ばかりでゆっくり他のことができずにいましたが、最近やっとゆとりが出てきました。

もう今は退職して関係のない人間ですが、やはり以前の労働環境に関するニュースや資料を見つけると読んでしまうものです。


公務員なら労働環境は整っていて、長く続けられる


という思い込みは禁物。
同じ公務員でも教員はもはやそこらの民間会社より劣悪です。


テレビでも残業時間の問題が取り上げられることがありますが、

不思議でたまりません。

仮にも公務員という立場の人間をどのような理由付けをして正当に働かせているのでしょうか??


公務員は全て法律に則って働かなければならないので、
きっと何かの法律で「教員は何時間でも残業をしていい」

という解釈がされているはずなのです。


今日はそこら辺の謎を解いていこうと思います。





http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398078_5-1.pdf

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398078_5-1.pdf




この資料は文部科学省が公開している、
平成29年11月に「学校における働き方改革特別部会」のものです。



勤務時間について

勤務時間とは、「職員が上司の指揮監督を受けて、原則としてその勤務のみに従事しなければならない時間」


これは労働基準法でもあるので、教員でなくても同じです。


この「上司」というのがミソ。


必ずしも管理職を指している訳ではありません。


学年主任だって当てはまるのです。




「指揮監督」っていう表現はあまり使わないのでピンと来ないかと思います。


簡単に言うと、
「ほう・れん・そう状態」ってことです。


仕事をする上で、上司に報告・連絡・相談は必須です。そういった環境の中で仕事をすることが、労働時間だと定義されています。







勤務時間は、正規の勤務時間と超過勤務命令などにより分けることができる。




これは当たり前って感じですね。


具体的な勤務時間は教員の場合は、条例等によって定められていて、

1日7時間45分

となっています。








それと、「法定労働時間」と言われる、

●休憩を除いて40時間1週間に働かせてはいけない


●休憩を除いて1日に8時間を超えて働かせてはいけない







っていう内容も一般の会社と同様に、適用とされています。




ただ、変形労働時間制も認められていて



これは、平均して整っていればOKっていう制度で、


1ヶ月変形労働時間制は、
1ヶ月を平均したときに1日8時間以内で1週間40時間以内になるように整えてね!

っていう制度です。

1年変形労働時間制だと、
1週間52時間までで、1日10時間も働かせることができるけど、これも1年を平均した時に1日8時間以内で1週間40時間以内になるように整えます。



教員は、1ヶ月変形は適用するけど、1年変形は除外されています。



小学校の教員になると、8月は授業もないので、3週間とか休めるので、

どちらかと言うと1年変形が1番教員の働き方に合っている気がしますが・・・・




そこら辺の事は、資料の後半に議論としてあげられています。


休憩時間について


一般的な会社では、

6時間を超え+8時間以下の場合、
45分以上の休憩

8時間超えの場合、
1時間以上の休憩

を与えることとなっています。




休憩の与え方にも決まりがあり、

●労働時間の途中に与える
●一斉に与える
●自由に利用できる


ということになっています。


教員は、条例がある場合、交代制や個々別々に休憩することを認められています。



交代制・・・・


別々休憩・・・・・





現場で働いていて思ったのは「休憩がない!」ということです。



お昼は給食が出ますが、児童と一緒に食べ、残さないように食育指導もするので、自由に利用ができるとされている休憩とは言えません。






児童を下校させて職員室で打ち合わせが始まるまでコーヒーを飲みながら、学年で打ち合わせをする、、、、。



おそらくそれが「別々に休憩を取る」とされていることなのでしょう。



完全に指揮監督下です。




納得いきませんね。






時間外勤務について

教員には原則時間外を命じないものとしているが、例外として「超勤4項目」の場合、臨時・緊急のやむを得ない必要がある場合は許される。




【超勤4項目】
●郊外実習その他生徒の実習に関する業務
●修学旅行その他学校の行事に関する業務
●職員会議
●非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務




命じられていないが、時間外勤務をしないと処理できない量を抱えている職員はどうなるのでしょうか???


そのことには触れられていません。
でも教員の時間外勤務で問題にされるのは超勤4項目ではなく、そもそもの仕事量の多さなのです。


また、

時間外勤務を行う場合、
「健康および福祉を害さないよう」に考慮しなければならない。


とありますが、体力があれば何時間でも勤務させていいのでしょうか??


残業時間を把握させず、ひたすら膨大な業務をさせても許されるのか???


時間外手当や休日給はない

一般の会社では残業をすれば残業代がありますが、教員はありません。



その代わりに

教職調整額

というものが支給されます。



これは勤務時間内外を問わず包括的に評価されるので、定時で帰っていく人も同じ額もらえます。



仕事をすればするほど損をしていく教職調整額という制度。




全員が同じ程度の業務量で、処理能力が個人差があるとして退勤時間が異なっていたとしても、業務量に対して教職調整額が付くのであれば納得がいくかと思います。



しかし、現場は業務量は個人によって異なります。それなのに包括的な評価をされた教職調整額が支給されるのです。




教職調整額は、
毎月の給料の4%、
期末・勤勉手当、
退職手当、
年金・・・・・・等



にも反映されます。

教員は年功序列に給料が上がっていくので、単純に考えると年をとって給料が上がるほど教職調整額が上がることになります。



年を取れば取るほど、多くの業務を抱えてくれていれば納得のいく話ですが。


私のいた学校では若手が大きな業務をやらされていたので、全く納得がいきませんでした。


中央教育審議会での議論


「今後の教員給料の在り方について(答申)」が平成19年3月29日に出されました。


その中で、
教職調整額の見直しについて議論されています。



●教員間の勤務時間の差が昭和41年と比べ大きくなってきている
●平成18年の意識調査では、「仕事量が多すぎて長く続けられそうにない」という人と、「そうでもない」という人と同じくらいの割合で存在し、二極化が進んでいる。

教職調整額を続行する意見としては、
●自発性・創造性に基づくものであるから、時間外勤務手当に馴染まない
→自発性や創造性に関する評価はどのように行うのでしょうか?
●客観的に職務負荷の少ない教員と多い教員とで支給率にメリハリを付けて支給する
→教職調整額を続けのであればこれが理想ですね。


あとがき

教員の残業代に関する考え方はまだまだ議論を重ねていく必要がありそうです。定員割れをしてしまうほど、人気のない職業とされている今だからこそ、一般の会社勤務以下の労働条件はもう受け入れられないのではないでしょうか?難しく考えずにシンプルに労働基準法を適用してしまえない意味が私には理解できません。